話題の人(令和3年1月号)
国際北陸工芸サミットに意欲
石川県立美術館長・前文化庁長官 青柳 正規 氏
昨年9月1日に就任した石川県立美術館(金沢市出羽町)の青柳正規館長(76)は、文化庁長官時代(2013年~16年)に提言した「国際北陸工芸サミット」がコロナ禍で1年延期となり、「今秋、運よく自分の任期中に開かれる見込み」から同館を中心にした開催に意欲を示す。
19年に就任した多摩美大理事長と奈良県立橿原考古学研究所長などを兼務し多忙の中、東京と金沢を往来している。「金沢にくると毎朝2時間ほど街なかを散歩するが、隅々まで心配りのある建物がある。気持ちが和みアイディアも浮かぶ。石川の美術工芸は、種目が豊かで奥が深く、生活様式に組み込まれている。まさに文化がある。(工芸全般を集大成した)『百工比照』もあり、堂々と自信をもって世界に広めていきたい」と、抱負を語る。
東京出身、1969年東大大学院修士課程修了、ローマ大へ3年留学、ポンペイ遺跡の発掘に携わった。1991年に東大教授(文化交流)、東大文学部長、副学長、国立西洋美術館長、国立美術館理事長、山梨県立美術館長など歴任。02年にイタリア功績正棋士勲章、06年紫綬褒章、17年瑞宝重光章受章。著書に『ローマ帝国』『興亡の世界史』『文化立国論 日本のソフトパワーの底力』など。
嶋崎丞前館長の死去に伴い、県が誘致した「国立工芸館」絡みで、文化行政に精通した青柳氏を招請した格好。「隣りの国立工芸館はまだ東京国立近代美術館の一工芸課に過ぎない。独立した国の美術館にしないと期待されていることができない」とみる。行動する国際派の学究者だが、夫人がいる山中湖の別荘に通い、「庭仕事が趣味」と飾らない。
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