話題の人(令和3年2月号)
「可能性は無限大」信じ
NYブロードウェイ俳優 由水 南さん
米演劇界最高の栄誉であるトニー賞4冠に輝いた渡辺謙主演のミュージカル「王様と私」(2015年)で世界の演劇人のメッカ、ニューヨーク(NY)ブロードウェイデビューを果たした金沢市出身の由水南さん。「ミスサイゴン」「マイフェアレディ」(17~18年)など数々の名舞台に出演したが、昨年3月からコロナ禍でブロードウェイの劇場が閉鎖されたためオンラインを使って世界の演劇志望者や日本人相手に「豊かな自己表現の仕方」などを指導している。
加賀友禅作家・由水十久氏の長女。幼少の頃に金沢シティバレエ団に入り、小学6年のときバレエのコンクールで上京した折、ミュージカル「回転木馬」を観て「歌って踊り、芝居もできる」ことを知り、中学生のとき「ライオンキング」に感動、「こんな素晴らしい舞台に自分も立ちたい」とミュージカル女優を目指した。
泉丘高ではブロードウェイを目標に演劇、合唱、英語の3つの部活を掛け持ちし渡米に備え英語を猛勉強、全国英語スピーチコンテストに優勝する。その年、米同時多発テロ「9・11」が発生、家族や先生が心配したが、固い決意は揺るがず、米モントクレア州立大に入学、演劇学校に編入し卒業、88回目のオーディションでようやく「俳優インターン見習い」になる険しい道のりだった。
永住権が取れずに帰国、「劇団四季」に3年いたが、「ブロードウェイの夢」をあきらめられず再渡米。米国人と結婚し約10年の下積みを経て念願を果たした。コロナ禍にあっても演劇のキャリアを生かして立ち上げた「YUプロジェクト」が生かされた格好。東大、金大、泉丘高などで講演もしているが、決まって「可能性は無限大」と唱えてやまない。