金沢21世紀美術館館長  長谷川祐子 氏

話題の人(令和3年7月号)

学び、気づき、出会いの場に

金沢21世紀美術館館長

長谷川 祐子 氏

今年4月1日付で金沢21世紀美術館の4代目館長に就任した長谷川祐子氏は、観光客の入場が増え、地元市民がゆっくり鑑賞できなくなっている従前からの懸案とコロナ禍を乗り越え、「未来」へつなげる新たな運営管理に乗り出した。

「美術館は学びの場、気づきの場、感性を育む場、いろんな人が出会えるパブリックな場。現代アートに限らず、様々な分野のものが一体となる状況をもう一度作れたらと思う」。04年の21美開館前から関わり、学芸課長と芸術監督の6年いた古巣への15年ぶりの復帰に意欲をみせる。

1979年京大法学部卒後、86年東京藝大大学院美術研究科修士課程修了。アラブ首長国連邦でのシャルジャビエンナーレなど先鋭的な展覧会を成功させた敏腕キューレーターで、16年仏芸術文化勲章オフィシエ、20年文化庁長官表彰を受賞。多摩美大美術学部教授を経て2016年から東京芸大大学院国際芸術科教授。

北陸新幹線開業後、入館者が200万人台と盛況だったが、コロナ禍により昨年度は約87万1千人と開館以来最少に。新たな創造の可能性を提示する特別展を企画し、オンラインの活用を図る一方、「市民対象の特別バージョンのギャラリーツアーを再開したい」と語る。

加えて国立工芸館や県立美術館、鈴木大拙館など周辺文化施設と作品の共同展示や借用など「見える化する形で連携する」との方針を示す。貴重な収蔵作品をいかに活用するかも課題。「大型作品も多く、うちの分館があったらいい」とも。「友の会」のほか法人会員の「サスティンメンバー制度」のサポーター拡充に力を入れる。趣味はスキンダイビング。「今はできないけどキューレーターは身体を鍛えないとね」と洒落っ気も。

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