甲子園に7度導き勇退
金城学園遊学館高校野球部監督
山本雅弘氏
今夏の全国高校野球大会を最後に金城学園遊学館高校野球部の監督を勇退する山本雅弘氏(70)=金沢市=は、01年に同高野球部創部とともに監督に就任以来、最速の創部1年4カ月で甲子園に出場しベスト8まで進出、これまで春夏合わせて7度も甲子園出場を果たした名将である。
ビデオで動作解析するなど科学的に理論を立てて選手を指導し、「選手が納得して練習する。根性のスパルタ教育とは真逆な指導法をとった」と自認する。
旧鳥越村鳥越中(白山市)で軟式野球部、桜丘高(22期生)では陸上部、教員を目指した日体大では、やり投げに打ち込み、稲置学園星稜中・高校の教員時代にスキー部を創部、自らアルペン種目の選手として国体に何度も出場した異色の経歴が指導に生かされている。
「スキーはスピード、遠心力に耐える力、バランス感覚、瞬間的に先を読む力が必要。大ざっぱな野球に比べると精密機械ほどの違いがある」と例える。少年時代から親しんだスキー、大学で学んだ運動生理学などから、野球でも鉄棒やマット運動をさせた。米国のドジャーズを視察、高校球界にリュック型バッグを普及させるなど創意工夫も凝らした。
星稜中学野球部監督に就き、通算13年間で3度全国優勝を果たす。遊学館高に転籍した後も、小嶋達也・元阪神投手ら教え子から慕われ、創部1期生の4番打者だった行田篤史さん(35)とは今も一緒にゴルフを楽しむ。
今夏は石川県大会で準決勝止まりだったが、保健体育の教師として来年3月で退職する。日本高校野球連盟の20年度の育成功労賞を受賞しており、古希を迎えた後も「指導者への指導」に期待がかかる。