話題の人(令和4年4月号)
「石川新時代」胸に安全運転
公選5人目の石川県知事
馳 浩 氏
保守系三つどもえの激戦を制し公選5人目の石川県知事に就いた馳浩氏(60)=元自民党衆議院議員、金沢市=は7期28年務めた谷本正憲前知事からバトンを受け、3月28日に初登庁。谷本県政の「継承と発展」を基本姿勢に「当面はコロナ対策が第一。感染防止と地域経済対策の二兎を
追う」と述べ、「県議会とも協調し、自分の個性を消してでも丁寧にやる必要がある」と堅実路線を強調する。
小矢部市の農家に生まれ、小学3年時に金沢市のリンゴ農家に養子入り、星稜高に進学、ロス五輪レスリングのオリンピアン、専修大で文学風土論を専攻・卒論は「枕草子」、星稜高国語教師、プロレスラー転向、衆参両議員、元文部科学大臣といった異色のキャリア。妻はタレントの高見恭子さん(都内)。「契約上政治に関われない」と、応援なしの答弁。
まだ「馳カラー」を前面に打ち出せないのは、得票率が総投票数の3割にとどまったためで、「3分の2の方に私の政策になるほどと思っていただけるようにしたい」と安全運転を心がける。03年の衆院選で石川1区の小選挙区で敗れ、比例復活した経験も肥やしになったからだろう。
能登の首長を中心に行政手腕が未知数と見られたが、国会議員として歴代最多の議員立法を実現した政策立案能力と行動力は安倍晋三元首相らから高く評価されている。
遠隔医療などに必要な高速大容量通信ネットワーク「ローカル5G」の整備、県内首長とオンライン会議、北陸3県知事との定期交流、女性副知事登用(6月議会提案予定)など次々と政策を打ち出す。「動かそう 春の石川 新時代」。当選時に詠んだ1句に県民の期待がかかる。