次世代看護の人材育成
石川県立看護大学副理事長・学長
真田 弘美 さん
今年4月1日付で石川県立看護大学(かほく市)の副理事長・学長に就任した真田弘美さん(66)=東大名誉教授=は、東大大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻教授を18年務めて帰郷、看護師不足やコロナ禍といった大命題を抱え、「AI(人工知能)や遠隔医療に必要なDX(デジタルフォーメーション)、ロボット活用の〝次世代型医療・看護〟に必要な人材を育成したい」と明確な指針を示す。
金沢市出身。祖母の薦めで二水高に進学、197
9年に聖路加看護大(東京)を卒業後、聖路加国際病院に勤務したが、祖母が認知症になったため金沢に戻り、金大で看護師として勤務、現場の難題から褥瘡(床擦れ)ケアをライフワークにすることを決意。褥瘡の予測、予防、治療の様々な角度から研究に取り組み、ロボティクマットレスを市販するまでに。医師と協力し日本褥瘡学会を設立し、同学会第4代目理事長、日本看護科学学会理事長を務め、世界的にも〝褥瘡の真田〟と言われるほど。「無いなら創る」の精神で、産学連携にて看護機器を開発してきた。
金大医学部保健学科助教授、金大、東大両教授など歴任。米イリノイ大大学院の留学研修では「自分の意見を伝えることの大切さ」を痛感するなど、41年の大学人生活で学んだことは多い。学生には「科学は万能ではない。豊かな人間性を自ら醸成してほしい」と呼び掛ける。
趣味は編み物。「無心になれ、最後は形になり人の役に立つ。看護に似ている」と語る。夫の真田茂氏(70)は、金大教授を定年退職後、公立小松大臨床工学科長を今年3月に退職した医学・工学両博士。二人三脚での地域社会貢献が期待される。