近畿大学総合社会学部教授 二木 一夫 氏

大事件取材の経験伝える

近畿大学総合社会学部教授 二木一夫 氏

近畿大総合社会学部社会・マスメディア系専攻の二木(ふたぎ)一夫教授(60)=小松市出身、兵庫県西宮市=は、毎日新聞記者時代に朝日新聞阪神支局襲撃事件(1987年)、オウム真理教による地下鉄サリン事件(1995年)、JR福知山脱線事故(2005年)など、戦後日本の歴史的大事件を取材する機会に恵まれた。その貴重な経験を生かし、報道記者を志す学生の指導に汗をかいている。

「新聞記者、論説委員も含め33年間、大事件についていたというか、恵まれたと思います」。1985年に小松高から金沢大法学部卒後、毎日新聞社に入社、阪神支局が駆け出しだったが、一緒に警察回りを担当していた朝日新聞の小尻知博記者(当時29)が殺害された。

大阪社会部から東京社会部に異動し警視庁を担当、1995年1月に阪神・淡路大震災が発生、神戸へ1週間応援に出かける。2カ月後に地下鉄サリン事件が発生、まだオウムの犯行だと分からず、サリンの怖さも認知されていない頃、霞が関の警視庁記者クラブで泊まり明けから地下鉄霞ケ関の駅に突入、サリンを吸う羽目に。警察病院で治療を受け、その日夜には職場に復帰する。

神戸支局長時代には、阪神・淡路大震災で後遺症を負った人々を巡る「震災障害者」問題キャンペーン報道で、第18回坂田記念ジャーナリズム賞特別賞を受賞する。論説副委員長の時、55歳で近畿大教授に就任。「現場からの新聞論」「日本語文章力養成」などの講座を受け持つ。

「紙媒体が衰退してもニュースを報道する記者は必要。全国に教え子がいるようにしたい」と、コロナ禍を乗り越え〝記者魂〟の伝授へ全力投球の構え。

加能人 令和5年8月号

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