金沢美術工芸大学学長・理事長
山崎 剛 氏
金沢美術工芸大の山崎剛学長・理事長(58)は10月1日に、金沢市小立野2丁目の金大工学部跡にキャンパスを移転、供用開始にこぎつけた。老朽化、手狭だった金大附属病院近くの旧キャンパスからの移転は長年の懸案で、学長就任5年目でビッグプロジェクトを果たした。
新キャンパスに正門がなく、ガラス面を多用した校舎が特徴。学生が専攻の枠を越えて利用できる「共通工房」を配置し、学生の作品を展示・合評するスペース「アートコモンズ」を9カ所に設け、市民も自由に鑑賞できるように変えた開放的なコンセプトが評価されている。
一般向けの内覧会に1千500人もの市民が訪れ、「私も驚きました。県民・市民の期待が大きく、ありがたいことです」と相好を崩す。兵庫県出身。関西学院の中高大学から同大大学院博士課程前期課程(美学専攻)を修了、大阪市立博物館の学芸員から文化庁の文化財調査官を経て金沢美大の公募に応じて03年に同大美術科芸術専攻の助教授として入った。著書に『工芸家たちの明治維新』や本阿弥光悦を解説した外書など。
「工芸やデザインが好きで、金沢にやってきた。自分で作ることはしないが、作品を解説したりするのが性に合っている。直感で学生の作品を買ったこともありました」と、気さくな語り口は関西人らしい。学生時代に甲子園でアルバイトしたこともある阪神ファンでもある。
華奢な身体つきだが、高校時代はラグビー部に所属、金沢美大でも試合に出たことも。「学長になってからケガされたら困ると周りから止められている」と明かす。ソフトな雰囲気を漂わせるが、芯が強く、指導者としてガッツがありそうだ。
加能人 令和5年10月号