前田家第19代当主 ・イノダコーヒ社長  前田利宜 氏

加賀藩の良き伝統継承

前田家第19代当主

㈱イノダコーヒ社長

前田 利宜 氏

 

 前田家18代当主の前田利祐氏(87)の長男である前田氏(60)は昨年11月3日、金沢市の尾山神社と金谷神社で営まれた家督継承の奉告祭に家族揃って参列。「旧藩主がいる地域でこれほど文化芸術を皆様で盛り上げているところは全国にない。父の今までの思いに負けずお役に立てられますよう尽力したい」と19代襲名の決意を披瀝した。

利宜氏は、京都市に本社を置き、東京など全国に9店舗展開する老舗喫茶チェーン「イノダコーヒ」の代表取締役社長。「お客にゆっくり過ごしていただく独自経営」が売り、フルサービスのため従業員は200人を超すが、人手不足の折「スタッフ補充が大変」と打ち明ける。

1987年、上智大外国学部ポルトガル語学科を卒業後、三菱商事に入社、コーヒーを含む食品全般の責任者としてブラジルやサウジアラビアなど海外勤務をこなした。「帰国後、イノダコーヒの猪田浩史社長(当時)と気が合い、仙台時代に誘われて」2020年7月にイノダコーヒの社長に就いた。

三菱商事入社同期の晶子夫人ら家族は東京・駒場住まい。京都へは単身赴任中、多忙なため「月1、2回帰宅する程度」とか。前田家の金看板である「文化芸術」には理解があるが、上智大では体育会系のヨット部に所属したスポーツ系。ゴルフ、ドライブ、写真撮影が趣味。

現在、公益財団法人前田育徳会や成巽閣の評議員などの役職にあり、今後、利祐氏が抱える石川県人会など多数の公職をいかに委譲していくかが課題。「人生一代、名は末代」を座右の銘に、ヨット同様しっかり舵を握り、加賀藩時代からの良き伝統を継承していくことだろう。

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