緊急輸送指揮し能登入り
公益社団法人全日本トラック協会会長
坂本 克己 氏
公益社団法人全日本トラック協会(全ト協)の坂本克己会長(85)=大阪市石川県人会長=は元日の能登半島地震を受け、全国の運輸業約6万3千社が加盟する全ト協(東京)に対策本部を設置し、「トラック輸送は、生活と経済を支えるライフライン、国や地方自治体と連携し、迅速に緊急・救援輸送に懸命に当たってほしい」と、石川県トラック協会をはじめ全国の協会を通じて国のプッシュ型緊急物資輸送を始めるよう檄を飛ばした。
坂本会長は、日本タクシー、大阪運輸倉庫、北港観光バス3社で構成する日タクホールディングス(HD、大阪市)の代表取締役会長であり、社長時代に阪神大震災を経験、熊本大震災発生の時は、二階俊博自民党総務会長(当時)から直接、携帯電話に緊急支援物資輸送の応援要請を受けたことがあった。
父親の出身地である小松市に戦時疎開した経験があり、ふるさと石川の非常時に間髪入れず立ち上がった格好。1月17日に斉藤鉄夫国土交通相らと馳浩石川県知事を訪問し物資の拠点だった県産業展示館から片道5時間半かけて被災地の穴水町の活動状況を視察した。
全ト協会長としてトラック運転手の時間外労働規制など「物流の2024年問題」への対応を迫られる中、持ち前の政治力を発揮、関連法案の成立により4月1日に施行された。「トラックGメンによる荷主対策強化、標準的な運賃の引き上げ」などが打ち出されたが、「銭形平次の十手でんな。8月から我々業界内で荷主に対し調査権を持てるようになる」と、戦記物の愛読者らしい例え。6月から8年目、迅速果敢をモットーに気構えは戦国武将のよう。
加能人 令和6年6月号