金沢で寄席をつくるのが夢
女優落語家 かはづ亭みなみ さん
「座布団1枚でどこへでも馳せ参じます」。高座名・かはづ亭みなみさん(38、東映東京撮影所俳優部所属)は三納みなみの芸名で俳優として舞台や映画にも出演しており、落語家との二足の草鞋を履く。かつ東京と出身地・金沢の2拠点で活動する異色の女優落語家として売り出し中だ。
「小学生の時に劇団四季を観たことがきっかけで演劇に興味を持ち、二水高に入学時、演劇部がなかったため額中の先輩がいた錦丘高の演劇部に毎日通って稽古した」という。さらに演劇を学ぶため桐朋学園芸術短大(東京)に進学し、卒業後、劇団「新宿梁山泊」に入り、舞台女優として活動、ポーランドや韓国など海外の舞台に立ったことも。
「お芝居の勉強の一環で日舞や能などの日本の伝統芸能を観るようになり、24歳の時、故・立川談志の高座を映像で見て衝撃を受けた。落語はたった一人で何役もこなす究極のエンターテイメント」と気づく。それから、都内の寄席に通うようになり、目の前で生の落語に触れていった。
立川談四楼師匠に落語の手ほどきを受け30歳で寄席を開く。コロナ禍と里帰り出産したことを機に落語にシフトするが、今年6月公開の映画「九十歳。何がめでたい」などにも出演し女優業も復活。また、古典の日の11月1日、金沢海みらい図書館で寄席を披露=写真=、同月9日、東京・北沢タウンホールで演芸会を自らプロデュースした。
高座名は「進化していく芸人を目指し好きなカエルから名付けた。ふるさと金沢で寄席をつくるのが夢」と目を輝かす。新しい女性の生き方のモデルになりそうだ。
加能人 令和6年12月号