金沢21世紀美術館館長  鷲田めるろ 氏

休館対策でまちなか展示

金沢21世紀美術館館長  鷲田 めるろ 氏

 今年4月1日付で金沢21世紀美術館の館長に就任した鷲田(わしだ)めるろ氏(52)=東京芸大国際芸術創造研究科准教授、京都市出身=は石川県を代表する「21美」施設が27年5月から11カ月にわたり長期休館となるため「金沢のまちなかで収蔵品を出張展示し、にぎわい創出に貢献したい」と、周辺の公共施設や商店街との連携に意欲を燃やす。

今年10月に開館21周年を迎える同館は、施設全体が経年劣化し能登半島地震でガラス天井の一部が落下する事態も。年間約190万人が訪れ、約5億円の収入となる〝ドル箱〟施設とあ

って、経済、文化、芸術団体など様々な要望に応える必要がある。

「文化施設には、まちににぎわいと経済効果を生み出す役割があり、商店街の関係者とも話し合っていきたい」と、外に出ることに前向き。「あいちトリエンナーレ2019」のキュレーター時代に商店街を会場とした企画を担当したことも生かせそうだ。

東大大学院人文社会系研究科美術史学専門分野修士課程修了後、1999年に金沢市現代美術館建設事務局学芸員となり、初代の蓑豊はじめ秋元雄史、島敦彦、長谷川祐子の「歴代館長の下で仕事をした経験は大きい」。青森県の十和田市現代美術館館長を5年務め、7年ぶりに金沢に戻った格好。

「美術品の展示にとどまらず、演劇や音楽、ダンスなどパフォーミングアートにも力を入れたい」と、専門人材の採用も計画する。仏哲学者メルロ=ポンティの研究者だった父親が「めるろ」と名付けた。京都育ちで金沢に20年暮らした影響か、趣味はお茶。ソフトタッチながら芯の強い情念を秘めているようだ。

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