田谷漆器店 代表取締役 田谷昂大氏

輪島塗再興へ米国研修

(株)田谷漆器店 代表取締役 田谷 昂大 氏

 

昨年元日の能登半島地震で輪島市杉平町の工房が全壊し、朝市通り近くのギャラリーが焼失した輪島塗の老舗、㈱田谷漆器店の田谷昂大(たかひろ)社長(34)=金沢市在住=は若き漆器プロデューサーとして輪島塗業界の復興に励む。今年9月7日から7泊9日の日程で米国ロサンゼルスへ5人のチームで研修と市場調査に出かけ、「大変面白く、どういうデザインが世界のトレンドか分かった」と、成果の一端を語った。

田谷漆器店の田谷昭宏会長(62)の長男。金沢泉丘高から成城大経済学部に進学、同大卒後、24歳の時、帰郷して家業に就いた。「東京に行って輪島塗の良さが分かった」と吐露する。

輪島塗は124の製造工程に11の職種が分業しており、塗師屋はその総合プロデューサー。伝統を守りながら新しい感覚の経営が求められ、震災前に「㈱The Three Arrows」を設立し、輪島塗を体感できる飲食店・ギャラリーを金沢市木倉町にオープンした。

海外やネット販売も展開、被災後は公的助成やクラウドファンディングを活用、トレーラーハウスなど仮設工房2棟を立ち上げ、職人8人を維持した。大阪・関西万博でも展示販売し、何度も講演し輪島塗をアピールした。

今後の輪島塗業界の復興について「アート作品としての価値を高め、海外に売り込む。これまで県外に販売に出かけていたが、輪島に来てもらって輪島塗を買ってもらえるようにしたい」と抱負をきっぱり。珠洲出身の夫人と子供との3人暮らし。次世代に向けてのプロデュースも怠りない。

加能人 令和7年11月号

カテゴリー

加能人社

金沢市示野町西19
TEL(076)268-5879
FAX(076)268-5896

定期購読のお知らせ    

うつのみや金沢香林坊店で販売しています。
金沢市香林坊2-1-1
香林坊東急スクエアB1F