人間との「猫社会学」研究
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部社会研究室教授
赤川 学 氏
人間と猫の関係を学問的に解き明かす新分野の「猫社会学」を提唱する東大大学院人文社会系研究科の赤川学教授(51)=志賀町出身=は、さる7月12日、羽咋市で開かれた母校・羽咋高の同窓会総会で、「猫社会学、はじめました」と題して記念講演した。
2021年頃から始めた「猫社会学」について講演の中で「単に猫のかわいさを研究する学問ではない。〝猫と人間の関係〟を見つめることで、家族とは何か、愛情とは何か、人間はほかの生き物とどう共存するのかを問うことで人間社会そのものが見えてくる」と力説した。
羽咋高卒業後、東大文科3類に進学し文学部へ。当時は「東大に入ったからには末は博士か大臣か」と本気で考えていたという。「政治家は難しそう。それなら博士になろう」。そんな発想から文学部へ進み、社会学と出会った。20代でセクシュアリティの歴史社会学、30代以降は少子化や人口減少問題を研究。50代に入り、「これから先の人生を考え、本当に好きなことを研究したい」という思いにかられる。その先にいたのが、好きな猫だった。
子どもの頃から実家に猫がいて、大学院生時代に再び猫を飼ったが、2011年に愛猫を亡くし大きな喪失感に襲われる。5年ほど経つと「あの柔らかさ」が恋しくなり、現在は3匹と暮らす。
猫の魅力を読み解くために文化人類学者・川喜田二郎氏が考案した「KJ法」を基礎とする分析手法を用いた。『猫社会学、はじめます』(筑摩書房刊)などの著書があり、いつも猫好きの人たちに「猫は、あなたにとってどんな存在ですか」と問うユニークな愛猫家の研究者だ。
加能人 令和8年9月号