テノール歌手 川尻文太郎さん

ふる里のオペラ公演に意欲

テノール歌手 川尻文太郎さん

 

 能登出身のテノール歌手川尻文太郎さん(36)=二期会会員、川崎市中原区=は、今年2月5日、都内で3年ぶりに開かれた関東志賀町会の新年交歓懇親会で「フニクリ・フニクラ」など日本人に愛唱されるカンツォーネの数々を熱唱=写真=、参加者から盛んな拍手を受けた。

コロナ禍による公演活動の制限が3年ぶりに解禁となり、今年2月23日から4日間・東京・上野の東京文化会館で開かれた東京二期会の公演「トゥーランドット」に合唱団の一員として出演。「久しぶりに大勢の観客の前で歌えて良かった」と、再スタートにも似た気概を込める。

父親が志賀町の日本郵政堀松簡易郵便局を営み、母親は元小学校の音楽教師。一人っ子で小学校に入学するまで志賀町に住み、七尾市に移り、同市東部中、鵬学園高を経て洗足学園音楽大に進学、同音大専攻科と東京二期会オペラ研修所を修了した。

「音楽の勉強は高校3年の時から始め、声楽も高校の応援部で鍛えた声の大きさを生かすことを勧められ、20歳の頃から本格的にやった。身体は小さいがハンディーだとは思っていない」と、打ち明ける。

これまで「愛の妙薬」など数多くのオペラに出演。若手音楽家のユニットC・e・Pを発足させ、2015年に自主公演「オステリア・ジョコーソ」を成功させた。関東七尾の会などでの歌唱披露も好評で、オペラを身近に感じさせファンも多い。

「洋服が趣味」という着こなしセンスを生かし、川崎市内の紳士服の店に勤めながら音楽活動を続けている。「石川で合唱つき交響曲『第九』などを企画できたら」と、ふる里凱旋公演を夢見て精進する格好だ。

加能人令和5年4月号

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