脚本家  嶋田うれ葉 さん

夢は加賀舞台の映画製作

脚本家 嶋田うれ葉 さん

 NHK朝の連続テレビ小説「エール」や「舞いあがれ!」の脚本を分担した加賀市出身の脚本家嶋田うれ葉さん(49)=東京都狛江市=は、ここ5年連続で母校の県立加賀高に招かれて講演し、「好きなことを突き詰めるしか夢は見つからないよ」と後輩はじめ若い人にエールを送っている。

東京・新宿で一人娘として育ち、中学1年時に母親が病気で入院、父親が多忙な映画のカメラマンだったため加賀市片山津温泉にある父親の実家に預けられた。うれ葉さんにとって祖母にあたる石田末枝さんは、当時、花屋を営み、華道、茶道を教え、お弟子も多い地元の有識者。「知り合いが多く、学校でも皆に受け入れられた。毎朝、おばあちゃんと一緒に温泉に入ってから登校するのが楽しみだった」と回想する。

片山津中学から1992(平成4)年に加賀高を卒業。「父親の仕事の関係で子供の頃から家に映画の台本がいっぱいあり、よく映画の撮影現場に連れていってもらった」ことが影響し脚本家を志望、都内のシナリオ専門学校、出版社勤務を経て早大第二文学部を卒業した。

「加賀の自然環境、人の温かさが気に入り、中学、高校で交わした言葉、思い出が大人になってからも脚本を書く原動力になっている」と明かす。08年に脚本家デビュー、17年にNHKBSプレミアム「全力失踪」でATP賞テレビグランプリのドラマ部門優秀作品賞受賞。18年の同「ダイアリー」は加賀市を舞台に執筆したが、「今度は加賀市を舞台に家族愛を描く映画をつくりたい」と、5歳女児の育児に追われながらも青春の地への恩返しを励みにする。

加能人 令和5年5月号

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